S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~

 それに気づくと、一瞬で空気が冷える。
 私はなんだか嫌な予感がして、「お邪魔しました」とすぐ出て行こうとするけど、ドアが開かなかった。

 見てみると、引いて開けるタイプのドアなのに、要さんが開けられないように手でふさいでいたのだ。

「あ、あの……? 部長?」

 私が言うと、要さんはにこりとまた微笑む。

(やっぱりそうだ。これ、怒ってる……?)

 要さんが怒ることは滅多にない。というより初めてだ。
 それに、ドアを開けさせないなんて、子どもみたいなこと、する人じゃないし……。

 かと言って仕事中だし、このままでは動けないから、ちゃんと話したほうがいいよね。

 そう思って話をしようと振り返ると、突然キスをされた。

「んんっ……!」

(ここは会社です――――――!)
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