S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~

 私は自分の腕を伸ばす。

「もっとして」
「だめだ」

 要さんはそうはっきり告げて、私の頭を撫で、「水持ってくる」とベッドから立ち上がり部屋を出て行ってしまった。

 残された私は不貞腐れたようにシーツを頭から被る。

(なんで? 覚悟したら最後までするって言ったの、要さんじゃない!)

 もしかして、槙野さんと今日なにかあったのだろうか。
 だから、私とのことはもういいとか……。

 目を瞑ると、悪い想像ばかりしてしまう。

 要さんがベッドに戻ってきても、私は要さんとは反対方向を向いて、ただ泣きそうになるのをこらえるのに必死だった。
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