S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~

 そして彼女が入社して少し経った頃、俺はアポを取ってある人に会いに行っていた。
 七瀬モーターズ・七瀬洋祐会長だ。

 俺は七瀬モーターズに足を運び、会長室の扉を開けた。

「お時間をいただきありがとうございます。北条ホールディングスの北条要といいます」
「……あぁ」

 七瀬会長は、俺の顔を見た瞬間から複雑そうな顔をしていた。


 案内されたソファにつくと、まっすぐ会長を見て口を開いた。

「最初から、ご存知だったという顔をされましたね。私の祖父から何か聞いておられたのですか?」
「いや、昔から孫娘のいろはが話していたんだ。『駅で助けてくれた男性』とは君のことだろう」
「……はい」

「家でも、ぽつりぽつりと君の話が出てはいたんだ。それで、会社が同じだったと喜んでいた」

 そう言われて、心が弾む。
 いろはは家でも俺の話をしていたようだ。
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