S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~

 私が怒っているというのに、要さんは私の髪を一束もって口づける。

「かわいかった。想像以上に」
「想像って……」

(昨日の夜や朝したみたいなこと想像してたの⁉︎)

「そりゃするよ。何回も想像した。ずっとこうしたかったから」

 そう言われてなんだかいたたまれなくなる。
 でも、要さん、そんなこと想像してたって言っても、仕事もとんでもなくできるのだから食えない。


「それでどうして仕事も、ちゃんとこなせるんですか」

 私が言うと要さんは笑う。

「俺も昔は全然分からなかったんだけど……大好きな人とこうやって過ごせる時間があるから、より頑張れる。誰かが見ててくれるから強くいられる。仕事なんてそんなものみたいだ」

「そう、なんですか」

 もし、私がいることが要さんの力になっているなら、それは嬉しい。

「そういえば」

 そしてふと昔のことを思い出していた。
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