聖なる夜の甘い愛



あれは、春の日


「ッヒク…うぅ~」


あたしは空き教室で泣いていた。
理由は、大好きだった彼氏との別れ。


そろそろだとは、わかっていた。
けどいざ来ると…辛かった。



「うぅ…りょう、たッヒク…」



「彼氏と別れたのか?大丈夫、出会いなんていくらでもあるんだから、泣くな。」



そう言って突然抱きしめられて頭をぽんぽんって撫でてくれた。



あたしは誰かわからなかったその人の優しさに勝てなくて、しがみついちゃったんだ。












泣き止んで初めて顔を見た。


あまり期待はしていなかったけど
お礼が言いたかったんだ。


だけど驚いた事に…かっこよくて。
素敵な笑顔の、男の子だった。



だからお礼なんて言えずに、ただ見つめてた。



「もぅ大丈夫だな、じゃっ」



そう走り去って行った、その男こそ俊次。





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