不妊の未来
二人の声がするまで、その場には大和と茉由しかいないかのような錯覚を起こすほどしっかりと視線を交えていた。

ハッと我に返り杏菜に寄り添う茉由。

大和は茉由の様子を見てから自然と益田の方へ視線を向けた。

大和「紹介するよ。二人がクリニックで働いている胚培養士の鷲尾さんと三崎さん」

茉由「鷲尾です」

杏菜「三崎です」


揃って頭を下げると、益田も同じように会釈した。

益田「益田です。今日ははるばる遠くまでありがとうございました。食事をご一緒出来るということですが」

益田が確認するように大和の方を見ると、大和はそれを受けて言葉を繋ぐ。

大和「僕もこの二人と食事するのは初めてですが、いい機会ですから。益田の行きつけの店に行きましょう」

杏菜「はい!」

杏菜が元気よく答えると大和はタクシー乗り場に移動し、そこから京都のおばんざいが食べられるお店へ向かった。

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