不妊の未来
茉由の中で大和の存在が大きくなっているのもたしかだった。
特に杏菜には話していないが、大和が杏菜を抱えた時、茉由の胸はチクッと痛んた。
その胸の痛みはヤキモチに近いもので茉由自身そのことに気づいている。

茉由「離婚も視野に入れないと、とは思っているの」

茉由の言葉に杏菜の目は見開く。

杏菜「それ、本気で言ってます?」

茉由「うん」

杏菜「大和先生のことが好きなんですか?」

茉由「……うん」

茉由が肯定すると杏菜は息を飲み、それから頭を抱えた。

杏菜「一晩で鷲尾さんを落とすなんて、大和先生どんな口説き方したんですか?!」

茉由はその問いかけには答えなかった。

口説き文句よりも茉由の未来を考えてくれたことが嬉しかった、なんて大和のことを好きな杏菜に言うのは野暮だと思ったから。

茉由「でも理玖さん…主人のことを嫌いになったわけじゃないの。それに離婚はきっと簡単なことじゃないから」

杏菜「でもそれだと大和先生が」

茉由は分かっているという風に頷いて見せる。

茉由「結論を出す前にね、ひとつだけ確かめておきたいことがあるの」

大和が茉由の未来を考えてくれたように、茉由も大和の未来を考えた。

その上で出た結論は。


回想終了
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