妖怪ホテルと加齢臭問題(天音と久遠)
子どものように、フーフーして
いる。

「部屋の風呂って、温泉じゃないよね。」
「申し訳ございません。
温泉かけ流しは、大浴場だけですので」

天音は頭を下げて、立ち上がると
「ちょい、待って」

久遠が、リュックの中をごそごそしている。

「これ、お土産、どうぞ」
ビニール袋から、スパイスの猛烈な香りが放たれた。

「今までインドにいたんだ。
これ、紅茶とスパイス、
マサラティーにすると、すっごくおいしいから。
ミルク入れてね。」

久遠は白い歯を見せて、笑った。
「ありがとうございます」

天音もつられて、少し微笑んだ。
大きな子どもみたいな人だ。

「こちらに、ゆかた、タオル、
歯ブラシセット、お使いください。

あと、お夕飯は、お部屋にお持ちします。
ごゆっくり、おくつろぎください」

座敷の端で、丁寧に三つ指を
ついて、お辞儀をする。

3代目女将を、完璧に演じた・・・が、
甘かった事を、後で知らされる。
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