妖怪ホテルと加齢臭問題(天音と久遠)
久遠は、またスマホで検索している。

「一緒に食べてOKってことね。
日本語は難しい・・
敬語も、いろいろバリエーションあるから」

久遠は猫舌で、
やっぱりフーフーしている。
酒を飲ませて、
早く寝かせたほうがいいのだろう。

天音は素早く、空のグラスに冷酒を注いだ。

「ああ・・うまいなぁ、
この酒、のどごしがいい」

久遠は息を吐いて、満足げにうなずいた。

のどごし・・・っていう
日本語は、知っているんかい?

天音はつい、心の中で突っ込んでいた。

「天音ちゃんも飲んで・・
どうぞ」
久遠がグラス一杯に、冷酒を注いだ。
「いただきます」

天音は正座をして、一気に飲んだ。
「この旅館さ、
何か面白い話とかある?」

「そーですねぇ。
祖父は、文化人が好きで、
芸術家をただで泊めたりして。

掛け軸とか、色紙とか、
書き散らした原稿用紙とか、
いっぱい、段ボールにはいっています。」

その処分には、頭が痛い。
旅館と一緒に、
全部、引き取ってもらおうか・・・
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