叶わぬ恋だと分かっていても
 宿泊中のビジネスホテルに戻るのももどかしく感じてしまうくらい、私もなおちゃんもお互いが欲しくて堪らなかったの。

 まるで欠けた部分を補うみたいに、私はなおちゃんに、自分の中のぽっかり空いた穴を塞いで欲しくて仕方がなかった。

 埋めても埋めても満たされないその空洞は、きっと妻子あるなおちゃんを愛する限り塞がることはないのだと自分でも分かっていて。
 分かっているから悲しくて、悲しいからこそ、もっともっと私を深く深く満たして欲しいと乞い強請(ねだ)ってしまう、の悪循環。


菜乃香(なのか)。俺さ、菜乃香(なのか)となら何回だって【できる】気がする」

 どちらの体液とも分からないものでしっとりと濡れそぼった身体を背中からギュッと抱きしめて、なおちゃんが耳元で甘く囁く。

「あっ……」

 その言葉を証明するみたいに、私の中に挿入(はい)ったままのなおちゃんが、その存在を誇示するみたいに質量を増した。

「あ、待っ、て……。私、今……」

 イッたばかりだから、と続けようとしたけれど、グッと深く押し入ってきたなおちゃんの動きに、すぐさま意味をなさない喘ぎ声しか出せなくなる。
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