叶わぬ恋だと分かっていても
なおちゃんの弱さ
 結局なおちゃんに電話を掛けた夜はそのまま泣きながら眠ってしまって、携帯の電源は切ったままで過ごしてしまった。

 泣きじゃくったままケアもせず放置したまぶたは重く腫れ上がっていて。
 私は仕事に行くのが――と言うより外出するの自体が――嫌だなと思って鏡の前でひとり溜め息を落とす。

 冷たい水で洗顔して、ケーキについていた保冷剤をハンカチに(くる)んで目元を冷やしてみたけれど、なかなか腫れは引いてくれない。

 まるでジュクジュクと(うず)く自分の心を反映しているような、ボロボロなコンディションの目元と、陰鬱な表情。

「どうやって誤魔化そう……」

(いっそこのまま、今日はお仕事お休みしてしまおうかな)

 そんな甘ったれた考えが脳内を支配してしまう。

 有給休暇はまだまだ沢山残っている。

 病欠という形を取れば、突然の欠勤も受け入れてもらえるだろうか。

 私は泣き過ぎてガンガンする頭を抱えながら、そんなことを考えてばかりいた。

 なおちゃんは今日も私の気持ちなんてお構いなしに、いつも通り平然と出勤するのかな。

 そう思ったら、また視界がじんわり滲んできて、私は慌てて鼻をすすって涙をこらえた。

 別れるって決めたのは自分。

 ちゃんとなおちゃんとは決別するって決意していたはずなのに。

 何でこんなにも苦しいんだろう。
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