剣と涙〜悲しみの連鎖を断ち切って〜
玄関に入ると、すぐに春太郎と幸子が走ってやって来る。そして、瑠依たちを見て「こんにちは、お兄ちゃん!」と笑った。

「こんばんは」

三人は挨拶をし、菫がしゃがんで二人の頭を撫でる。すると、二人とも大袈裟なほど喜んでニコニコと笑うのだ。

「三人とも、麦茶飲める?」

沙月が立ち上がろうとし、葉月が慌てて支えた。意識はもうはっきりしているようだが、まだ顔色は悪い。

「俺がやるから、お前は先に部屋に戻ってろ」

「そうそう!沙月ちゃん、私が運んであ・げ・る♡」

いつからそこにいたのか、スーがハァハァと荒い息を吐きながら立っていた。紫乃が小さく悲鳴を上げ、瑠依と菫は神様に申し訳ないと思いつつも引いてしまう。

「瑠依、菫、紫乃、沙月のことを頼む。部屋は妖たちが教えてくれるから」

葉月はスーを無視し、キッチンへと歩いていく。スーが何かを喚いている中、菫が真っ先に動いた。

「沙月、部屋まで行こう」
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