とあるヒロインと悪役令嬢の顛末


その後ですか?
出入りしていた商人に魅了をかけ、私を雇わせました。
悪いとは思ったのですけど、自殺も考えたのですけれども、死んでしまうのは怖かったものですから。

そして、何度も雇われる先を変えて、王都から離れるようにしたのです。

こういうやり方だと、跡を辿れないと思ったのですが…やはり皇族の情報網は凄まじいですね。
こんな辺境の街まで探し当てられるとは、思いませんでした。






ーーいいえ、私に家族や恋人みたいな存在はいません。
皆さまの前から消えて5、6年程でしょうか、そんな存在はいたことがありません。

だって、私、魅了使いなんです。
ー誰が、『自分の意志で』、私に好意を持っているか分からないのです。
そんな状態で、誰かを側に置けないでしょう?
私自身が無理矢理作らせた好意かもしれないのに、そんなの虚しいだけです。


私ならそう言うと思ってらしたのですか?
ーー有難い評価です。
そうですね、元の世界の常識もあって、個人の意思は大切にしているつもりです。



ーーー私は、これからどうすれば良いですか?妃殿下のご意志に従います。
牢獄でも処刑でも、受け入れます。
ただ、私が魅了の力で操った人は、どうか、お慈悲をくださいませんか?
お願いします、私の命を差し出してお願いします。








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