不倫彼氏とデートした夜、交通事故に遭ったら、出逢う前に戻っていました。
二人が再会したのは確かこの5月の後半で、今ならまだ出逢ってないはずだ。
「大和先生って、昔、家庭教師に来てくれた人?」
不思議そうな顔で紗智が訊いてきた。
「なんで急にそんなこと聞くの? お姉ちゃん、趣味じゃないって言ってたのに、よく覚えてたね。私、とっくに忘れてた。大和先生のことは知らないよ。お姉ちゃん、やっぱ、おかしいよ。頭を打ったショックが続いてるのかな」
横にいた母が心配そうな顔で、話に割り込んできた。
「先生が脳しんとうを起こしたから、一、二週間の休養が必要って言ってたわね。今週一杯くらいは、仕事を休んだほうがいいんじゃないの。私達、帰るから、玲奈はすぐに寝なさい」
母はもっとここに居たそうな父と紗智を促し、皆で病室を出て行った。
一人になった私は胸の上で手を組み、天の恵みのように、あまりにも自分にとって好都合なタイムリープに感謝した。
『紗智より先に──、玲奈と出逢ってたら──』
先の未来で聞いた、マッキーの声が蘇る。
そう。
私にはそれができるんだ。
消灯した病室の目の前に、虹の橋が架かった。
♡
「大和先生って、昔、家庭教師に来てくれた人?」
不思議そうな顔で紗智が訊いてきた。
「なんで急にそんなこと聞くの? お姉ちゃん、趣味じゃないって言ってたのに、よく覚えてたね。私、とっくに忘れてた。大和先生のことは知らないよ。お姉ちゃん、やっぱ、おかしいよ。頭を打ったショックが続いてるのかな」
横にいた母が心配そうな顔で、話に割り込んできた。
「先生が脳しんとうを起こしたから、一、二週間の休養が必要って言ってたわね。今週一杯くらいは、仕事を休んだほうがいいんじゃないの。私達、帰るから、玲奈はすぐに寝なさい」
母はもっとここに居たそうな父と紗智を促し、皆で病室を出て行った。
一人になった私は胸の上で手を組み、天の恵みのように、あまりにも自分にとって好都合なタイムリープに感謝した。
『紗智より先に──、玲奈と出逢ってたら──』
先の未来で聞いた、マッキーの声が蘇る。
そう。
私にはそれができるんだ。
消灯した病室の目の前に、虹の橋が架かった。
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