婚約解消するはずが、宿敵御曹司はウブな許嫁を愛で尽くす~甘くほどける政略結婚~

昔クラスメイトが課外学習を『今日の授業は楽しい』と言っていた。

裏を返せば、普段の授業は“楽しくない”ということ。

そういう子供たちの本音を聞き出せれば、データだけを見て教室の方向性を決めるよりもずっと有意義だと思うんだけどな。

つらつらと思ったことを口にしてしまい、難しい顔をして黙り込んだ怜士を見てハッとした。

いくら結婚しているとはいえ、仕事のことに口を出しすぎるのはよくなかったかもしれない。

将来勉強が好きになってほしくて始める幼児教育分野の新事業は、怜士にとって長年の夢のはず。

会社の利益も大事だけど、彼の積年の思いも大切にしてほしいと思ったゆえに暴走してしまった。

「ごめん。出しゃばったこと言った……」

本当はこんな責めるようなことを言いたかったわけじゃない。

つい先程、彼の苦悩を見落とさないようにしようと思ったばかり。

疲れて弱音を吐きたくなった怜士を癒せる存在でありたいと思っていたはずなのに。

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