婚約解消するはずが、宿敵御曹司はウブな許嫁を愛で尽くす~甘くほどける政略結婚~

怜士がワークショップを開催しようと思い立ってから二ヶ月余り。

いよいよ開催を今週末に控え、彼は多忙を極めている。

恋人ごっこの頃からずっと続けていた朝晩の食事を一緒に取るという約束事もなかなか難しく、すれ違いの生活が続いていた。

寂しく感じるものの、そこに不満はない。

彼は以前のように疲れた顔をしているわけじゃなく、仕事が楽しくて仕方ないといった様子で、このプロジェクトにかける意気込みが伝わってくる。

一方、十一月に入り急激に気温が低くなってきて、私は体調が思わしくない日が続いていた。

気候の変化もあるだろうけど、主な原因はストレスのせいな気がしている。

ここ一ヶ月の間、よく怜士に池田さんから電話がかかってくるのだ。

彼は仕事用とプライベート用の番号を分けていて、当然鳴るのは仕事用のスマホ。

プロジェクト始動にあたり、怜士は『ブルームテクノロジー』というITベンチャー企業と提携し、AIを使った新たな教育ツールの開発に乗り出した。

そのため『ブルーム』の社長やシステムエンジニアさん達との打ち合わせに追われ、なかなか会社に顔を出せないことも多かったそう。

進捗状況や相談などはメールでやり取りをしているらしいけど、埒が明かないと電話で話し合っていることもしばしば。

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