あの夏の日の午後のこと、私はきっと忘れないだろう
もちろん、伯母が亡くなって、私も悲しくなかったわけじゃない。
母の姉である伯母は、姪である私を幼いころからとてもかわいがってくれたし、唯一の身近な親戚だった。
母には、伯母の他に兄弟はなく、私にとって、いわゆる家族と呼べる女の人は、母と祖母と、伯母だけ。
短大を卒業して、すぐに結婚した母とは違い、伯母は遠くの大学に進んでから、大きな会社に勤めていた。
覚えている限り、いつも髪はショートカット。
家ではノーメイク派の母とは違い、伯母はいつもきちんと化粧をしていて、仕事帰りだと言って、細身のパンツスーツで現れることもあった。
小さなピアスに、華奢なデザインの腕時計、手入れされた爪。
ヒールの靴で危なげなく歩き、私を抱き上げ、少し大きめの口を遠慮なく開いて笑っていた笑顔。
私から見た伯母は”大人の女性”で、ふつうのおばさん”に見える母とは何もかも違うと思っていた。
優しくて、かっこいい、大人の女。
私は、そんな伯母が大好きだった。