あの夏の日の午後のこと、私はきっと忘れないだろう
久しぶりに向き合う気恥ずかしさをこらえて、思い切ってそう言うと、あの人……雄太さんは、ちょっとびっくりしたような顔をして。
そして、初めて出逢った日のように、明るく笑った。
「あはは!そうかな?僕も、もうすっかりおじさんだよ」
そう言ってから、あ、と言葉を区切って続ける。
「沙良ちゃんからすると、最初からおじさんだっただろうけどね」
「っ、そんなことない」
思っていたよりも大きな声が出て、雄太さんが目を丸くする。
「えっと、その……雄太さんは、全然おじさんなんかじゃないです……まだ若いし、かっこいいし……」
言いながら、どんどん恥ずかしくなって尻すぼみになってしまったけど、ちゃんと思ったことを言えた。
「ありがとう、沙良ちゃんは優しいね」
雄太さんは大人らしく、私の言葉を軽くいなすと、にこっと笑った。
「それで、今日はどうしたの?何か、お母さんに頼まれた?」