きみに ひとめぼれなおし
俺は、何やってるんだろう。
こんなことになるくらいなら、もっとちゃんと「彼氏」、しとけばよかった。
自転車を降りて、堂々とその手を迎えに行けばよかった。
二人の間に割って入ればよかった。
「坂井さんの隣は、俺の場所だから」なんて、カッコいいセリフ、恥ずかしげもなく言ってしまえばよかった。
「坂井さんが好きなのは、俺なんだよ」なんて、彼氏の余裕とやらを見せつければよかった。
もっと恋バナすればよかった。
もっと自慢したらよかった。
坂井さんの自慢の彼氏は俺なんだって、堂々と、教えてやればよかった。
どうしてしなかった?
どうして言わなかった?
しなかったんじゃない、できなかったんだ。
言わなかったんじゃない、言えなかったんだ。
だって俺、園田の気持ち、知ってるから。
好きな人の隣にいたい気持ちは、その場所を独占したい気持ちは、痛いくらいに、よくわかるから。
こんなことになるくらいなら、もっとちゃんと「彼氏」、しとけばよかった。
自転車を降りて、堂々とその手を迎えに行けばよかった。
二人の間に割って入ればよかった。
「坂井さんの隣は、俺の場所だから」なんて、カッコいいセリフ、恥ずかしげもなく言ってしまえばよかった。
「坂井さんが好きなのは、俺なんだよ」なんて、彼氏の余裕とやらを見せつければよかった。
もっと恋バナすればよかった。
もっと自慢したらよかった。
坂井さんの自慢の彼氏は俺なんだって、堂々と、教えてやればよかった。
どうしてしなかった?
どうして言わなかった?
しなかったんじゃない、できなかったんだ。
言わなかったんじゃない、言えなかったんだ。
だって俺、園田の気持ち、知ってるから。
好きな人の隣にいたい気持ちは、その場所を独占したい気持ちは、痛いくらいに、よくわかるから。