【短編】地味男が同居したら溺甘オオカミになりました。
 今彼の両手は私が座っている椅子の背もたれにあって、昨日や今日のお昼のように顎をすくい上げられてはいない。

 顔を少しそらせばキスは回避できる状態だ。


 でも……出来ない。


 真っ直ぐ私を見つめる村城くんから目をそらせない。

 半分閉じられた瞼が色っぽくて……。


「かわいい……好きだよ、伊千佳さん……」

 甘く熱っぽい声で告げられる真っ直ぐな想いに、トクンと私の心が反応して……。


 村城くんとのキスが嫌じゃない私は、目を閉じて彼のキスを受け入れた。

 私はセカンドキスも、彼にあげてしまった……。
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