『ペットフード』

ー壊信ー

ー壊信ー

知らないマンションの前で、2人は体の向きを変え、そのマンションの【201号室】の前に立つ。
雨哥と同じ、全く違う【201号室】。
【201号室】のドアを開け、「入って」と言う苺美の顔は可愛かった。
見た事のない可愛い苺美の姿。
本当に可愛くて…愛おしくも感じてしまう。
『あんな顔、私には出してあげられない…』と悔しくなる程だ。
「やっぱり帰るよ」と言う琉羽の背中を押し「今更でしょ!!」と苺美は琉羽をその先に入れ、そのままドアを閉めた。
琉羽が【201号室】に消えた。
電気が点くカーテンの向こうに2人はいるのだ。
雨哥は足を動かし、今来た道を必死で戻った。
考えない。
考えたって…。
どうして…考えない。

前もこんな事あったっけ?
何度?ずっと?私より…
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