(更新停止)時の狭間
第2章
 


ふわり、ふわり。
身体が無くなるような感覚。
現実味の無い、真っ白い所。

時の狭間なの?

いや、多分違う。
時の狭間とは違ってここに床は無い。
浮いている、のだろうか。

ここは何処だろう。


『……る。』


誰の声?


『…ゆる。』


嗚呼、この声は夢の彼。


『…くゆる。』


私を呼んでいるの?

悲しみの混ざった声音。
それは、私があなたを忘れているから?


「ごめんなさい…。」


思い出さなくちゃ。
ユウくんの事も、あなたの事も。

まずは名前。


「名前、なんて言うのかな。」


きっと、お互いの名前を呼び合ったりしたんだろうな。
私、幸せだったのかな。


「ライ、だよ。」


あどけない声。
後ろから聞こえたそれに不思議と驚きはしなかった。

振り返れば笑顔のユウくん。


「ライ?それが彼の名前?」
「うん。もう忘れちゃダメだよ?」


くすくすと悪戯っ子のように笑って、ユウくんは私に背を向けた。


「でも、僕が教えてあげられるのはそれだけ。」
「ユウくん?」


ぐっと強い力で体が後ろへと引っ張られるような感覚。
それと同時にユウくんがぼんやりと霞んでいく。


「あとは自分で思い出してね。」


その言葉を最後に、私の意識は深く沈んでいった。





 
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