ハートの確率♡その恋は突然やってきた
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 待ち合わせ場所に着いて、プロフに載ってる写真を見ながらその人を捜してみると、すぐに見つけることができた。

「はじめまして……。ケンジさん、ですよね?」

 サイトのプロフに掲載している写真を加工する男が結構いる中で、私同様に偽っていない姿を見られたことに安堵しつつ、恐々と話しかけたら、ちょっとだけ引きつった笑みを彼は浮かべた。

「はっ、はじめまして! エリカさん……」

 前髪が長めだけど、サイドを刈り上げてサッパリしてる黒髪に、茶縁のメガネをかけた細面の顔。

 瞳は奥二重で、どこか野暮ったく見えた。すぐそばにある鼻も唇も普通。背だってそこまで高くない、170センチ前後といったところだった。

(年齢は37歳ってプロフに書いてあったけど、それよりは若い感じの、どこにでもいそうな普通の人だな――)

 ニッコリと微笑みながら上目遣いで視線を合わせてみると、困った顔で視線をキョロキョロさせる。その落ち着きのない子どもみたいな様子に、ちょっとだけ笑ってしまった。

 もしかして、こういうことをするのが、はじめてなのかもしれない――。

「ケンジさん、ちょっとだけお話しません? そこにあるベンチに座りましょうか」

 くいくいっと袖を引っ張って誘導したら、黙ってついて来た。大人しいワンちゃんの散歩をしてるみたい。

 先に座ったら少しだけ間を空けて両膝をくっつけて座る様子が、さらに笑いを誘う。

「ケンジさんって、こういうの初めてですか?」

 隣にある顔を覗き込みながら質問すると、ケンジさんは人差し指で頬をぽりぽり掻きながら、力なく首を横に振った。

「あの……。実は、エリカさんで3人目なんです。だけど、その――逢っただけで、何もしていないというか」

「何もしてない?」

「はぁ。実際に逢ってみたらプロフの写真と違ってて、お断りしてしまうレベルだったんですよ。写真は長い黒髪で目がパッチリしてる可愛い系だったのに、実際に逢ってみたらショートカットの金髪に、目がすっごく小さくてポッチャリしたコだったり」

 身振り手振りで、逢ったときの衝撃を分かりやすく話してくれる。余程ショックだったんだろうな。悲壮な表情がそれを表していた。

「終いには断った途端に怒りだして、サイトでおまえのことを晒してやるって言われてしまって。二度あることは、三度あるって言うじゃないですか。だからもう一度同じ目に遭ったら、諦めようと思っていたんです」

「私で良かったかな?」

 あえてタメ呼びしつつ、上目遣いで彼の顔を見つめながら、太ももにそっと手を置いた。断らせないように刺激を与えて、先手を打ってみる。

 なぞるように太ももの付け根に移動させて、キワドイ部分に触れそうで触れないように、ゆっくりと撫でる。

「えっエリカさん……。こんな場所で、そんなところを触らないでください」

「ふふっ、ゴメンなさい。何だかケンジさんが可愛くて、つい。それで私で良かったかな?」

 ダメ押しと言わんばかりに掠め取るようなキスをしてから、じいっと見つめた。絶対に断らせない自信はある!

「ダメなんて言うワケないですよ。プロフの写真よりも、実際の方がキレイだしそれに……」

「なぁに?」

 キワドイところに触れてる手を止めるためなのか、ケンジさんはぎゅっと握りしめてから、自分の胸に押し当てた。

「こんなふうにドキドキさせられるの、すっごく久しぶりだったので。出逢ったばかりなのに、恋人気分を味わわせてもらえて嬉しいです」

「そう、良かった」

 胸に当てている私の手のひらには、彼の鼓動がしっかりと伝わってきていて、その感情が嘘じゃないことが分かり過ぎるくらいに分かった。

 恋人気分か――だってこれからHをするんだから、そういう雰囲気に持っていった方がお互いに楽だろうし、余計な感情が混ざらなければ、割り切ってその場でさっさと別れることもできる。

 いわばこれは、私のテクニックなのにね。
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