エリートSPはウブな令嬢を甘く激しく奪いたい~すべてをかけて君を愛し抜く~
 オーバーに驚き過ぎた自分が恥ずかしくて慌てて首を横に振るものの、すぐに名前を知られていたことにびっくりして彼を見上げた。

 少し長めの前髪から見える切れ長の瞳が印象的で、思わず息を呑む。よくテレビで見る俳優よりもカッコいい。

 初めて男の人が綺麗だと感じていると、彼のかたちの良い唇が動いた。

「九条紅葉様で間違いないでしょうか?」

 確認するように聞かれ、我に返った。

「は、はい。そうです。……あの、あなたはいったい……?」

 そこまで言いかけると、彼は丁寧に頭を下げた。

「はじめまして。この度、円城寺家よりご依頼を受けてきました木嶋(きじま)静馬(しずま)と申します。本日より紅葉様を二十四時間護衛させていただくことになりました。煩わしく思われるかもしれませんが、紅葉様をお守りするのが私の仕事ですので、どうぞご理解いただき、おそばにいることをお許しいただけましたら幸いです」

 ちょっと待って。二十四時間護衛ってどういうこと? そもそもなぜ私に護衛を?

 頭がパニックになる中、木嶋さんは感情が読み取れない顔で私を見つめるだけ。

 まさか彼との出会いが人生を大きく変えることになるとは、この時の私には知る由もなく呆然とするばかりだった。
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