忘れさせ屋のドロップス
 遥に抱きしめられて、私は、遥の背中を抱きしめて、二人で体温を分け合っているうちに、遥は、珍しく眠ってしまった。


 一緒に眠る時は、いつも私が、眠るまで、遥が起きているのを私は知っていたから。


 長い睫毛が規則的に揺れているのを確認して、遥を起こさないように、私の頭を支えてくれていた遥の腕をそっとブランケット包んでから、ベッドから下りた。

ーーーー時計を見たら、もうすぐ、13時だ。遥をもう一度振り返って見てから、私はキッチンに向かった。

 遥が食べてくれるかわからなかったけど、食事はきちんと摂って欲しくて、お野菜をたっぷりといれてチャーハンを作った。

 遥は暫く起きなさそうだったから、先にダイニングテーブルに一人で座って、自分のチャーハンをぱくんと口に入れる。

 味はいつもと一緒。

 どこにでもあるような普通のチャーハン。遥がいつも美味しいってパクパク食べてくれるチャーハンも、一人で食べると美味しく感じなくて、いつもの半分でお腹が一杯になった。

 私はラップをかけて、残りを冷蔵庫に仕舞った。

 遥のチャーハンもラップをかけてダイニングテーブルに置いておく。その横にメモを書いた。

 何となく、遥は起きてすぐに私に会うよりは、ひとりの時間を過ごしたいかな、ってそう思ったから。

 夜、あの人に会いに出かける遥の姿を、私が見たくなかったのもあった。

 ダイニングテーブルに手をついて立ち上がってた時だった。

ーーーー私のスマホにメッセージが入る。

 液晶画面を覗き込んで、私は頭が真っ白になって言葉を失った。   


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