Well you marry me?
蒼さんは私より少ししか歳が変わらないというのに、とても穏やかで優しい方です。その優しさに私は何度救われ、ずっとお側にいたいと何度願ったかわかりません。

「ありがとうございます」

自然と笑みが浮かんでしまいます。蒼さんはホッとしたような顔を浮かべ、私に手を差し出してくれました。

「中へ入りましょう」

「はい」

蒼さんの手を取り、日本庭園を眺めながら玄関まで向かいます。遅くなってしまうというのに、私の歩幅に蒼さんはいつも合わせてくれるのです。

広いこのお屋敷では、多くのお弟子さんがいつも行き来しています。玄関に入るとお弟子さんの姿が見え、挨拶を交わしました。

「蒼さん、よろしければこちらを皆さんで召し上がってください」

忘れるところでした。お屋敷に来る前に買った和菓子の袋を差し出すと、蒼さんは目を見開きます。

「この袋、駅前の和菓子屋さんのものですよね?わざわざ買いに行ってくださったのですか?」

「父が前に買ってきてくれたんです。とてもおいしかったので、ぜひ蒼さんたちにも食べていただきたいと思いまして」
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