厄介なイケメン、拾ってしまいました。
「ああん……」

 ベットの上。ペットに舐められる、私。
 私の顔中を伝う、彼の舌。
 熱くなる、身体。
 耳元で聞こえる、彼の舌使いの音。それは、ぴちゃぴちゃと厭らしい音を立てて、私の思考を溶かし始める。
 そのままはむっと耳を甘噛されれば、ぴくんと身体が跳ねる。

「ん……」

 声を漏らせば、唇を塞がれた。

「素直になったよね、紗奈の身体」

 私が飼っていたはずなのに。
 気がつけば、飼いならされていたのは、私のほうかも知れない。

 仕方ないじゃん。
 蓮くんの声が、舌が、私の身体をどうしようもなく疼かせるんだもん。

 早く欲しいと腰をくねらせれば、焦らすように服の上から私の敏感なところをなぞる。

「意地悪」
「できの悪いペットなもんで」

 蓮くんはそう言いながら、全身にゆっくり触れていく。
 それは、今までとは違う、優しい触れ方。

 やめてよ。
 勘違いしちゃうじゃん。

 離れたくなくなっちゃうじゃん。

 じわんと目頭が熱くなる。
 鼻の奥がツンとする。
 私は下唇を噛んだ。
 泣きたくは、ない。

「紗奈……」

 蓮くんは私の目尻にちゅっと触れるだけの口づけを落とした。

「早く、ちょうだい?」

 これ以上、涙が溢れる前に。
 早く、私の全てを奪って。

 そう思ったのに。
 蓮くんはその夜、私をゆっくりと時間をかけて、まるで愛を伝えるかのように、私を溶かし続けた。
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