不倫の女
その後の報告書は、調査対象Aなる人物と淡々とホテルに行った報告が記載されていた。
変化があったのは去年の7月に一度、温泉旅館に旅行に行ったことだった。
その旅館名は、私と裕太さんが行った旅館でもあった。
私たちが行ったのは、今年の8月だったから日付が全く違う。
調査対象Aはやっぱり自分のことではないと再認識した。
しかし、旅館が同じということはどういうことなのだろう。
嫌な予感しかない。
調査報告書を読み進めていると今年の日付に差し掛かった。
2022年 4月5日 調査対象Bと接触開始。
調査対象Bが私のことらしい。
私と裕太さんが結ばれた初めての日付に差し掛かろうとしたところで、
その報告書を破る。
性行為の記述を読みたくなかったからだ。
性行為の報告をしている探偵だというこの人物は一体誰だろう。
私はその疑問に対する答えから必死に目を逸らし続けている。
こんなことを詳細に書ける人は一人しかいない。
ビリビリに破った書類をその場に捨てるわけにもいかない。
だから封筒の中に捨てた。
封筒の中に残されていた写真も破り捨てておこう。
私はその写真を手に取り、破ろうと試みる。
破る前にどうしても調査対象Aなる人物を見ておきたい、という気持ちもあった。
その人物はきっとあの人しかいないだろう。
まさか、噓だろう。
そんなはずない。
そんなことありえない。
確認することで安心を得たい。
安心などできるわけないのに。
調査対象Aの背後しか写っていない写真が一枚目の写真だった。