お前を奪い返す〜俺様御曹司の独占欲が燃え上がる
こちらを見上げている男性は、間違いなく神野さんだった。

でも窓は開けられない。

窓にピッタリくっついて、思いっきり手を振った。

気づいて、神野さん。

でもどうしてここにいるの?

私に会いに来てくれたの?

まさかね、そんなことはないよね、でもそれじゃあ何してるの?

窓を軽く叩いてみる。

びくともしない。

「神野さん、ここよ、気づいて、神野さん」

私は大きな声で叫んだ。

そこへ東洋さんが病室に入ってきた。

「まりか、大きな声を出したら、周りの患者さんに迷惑だよ」

「神野さんがいたんです」

東洋さんはちょっと窓の外を見て、すぐにカーテンを閉めてしまった。

そして、私の肩を抱いてベッドに座らせた。

「まりか、今日は彼が書類を持ってきてくれたんだ、ただそれだけだよ」

「でも、病室を探している様子でした」

「最後のお別れをしていたんだろう」

「そんな……」

私は思い切って窓に寄り添い、カーテンを開けた。

東洋さんは、私を自分の方に向かせて抱きしめた。

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