金の草鞋を履いてでも…
とは言え、ここでは皆が互いに苗字で呼び合っている。

だから、誰にも気付かれぬよう、ネームプレートを目立ちにくい場所につけた。

「ねぇ、早月さん。今日、新メンバーが参加するの。早月さんとは年齢も近いし、隣の席にしておいたから、仲良くしてあげてね」

この会の担当である、市の職員の女性に言われ、私は快諾した。

読書会のメンバーは、私より年上ばかりなので、話すことで人生勉強にはなるけれど、正直、やはり気を遣ってしまう。

ここに参加した理由も、新しい友達が欲しかったからなので、歳の近い新入りは大歓迎だ。
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