金の草鞋を履いてでも…
いつもの読書会の会場に向かう途中、何故か少し緊張している私が居た。

もう、すっかり慣れたメンバーなのに。

そうではなく…緊張の理由は、本当はもう判っている。

今日もまた、森川が来る筈だから。

「こんばんは」

そう言って会場を見渡しても、返事をしてくれるのは以前からのメンバーばかりで、森川の姿はない。

安堵と落胆とで、肩の力が抜けた瞬間、誰かに突然目隠しをされ、小さく悲鳴をあげてしまった。
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