断罪された真の聖女の愛情たっぷり癒しご飯


 こんな大役はまたとない、とリズは思った。
 それに普段は頼ってこないドロテアが頼ってくれているのだ。
 最初は尻込みしていたが、断る理由がなくなった。

「是非私にやらせてください!」
 リズは二つ返事で引き受けることにした。
「それじゃあお願いね」

 ドロテアは微笑むと聖騎士と共に礼拝堂へと歩いていってしまった。


 その後、草むしりを終えて、早速ドレスを直しに邸へと向かった。
 この時間帯の邸内は修道女や見習いの修道女たちが掃除をしている。

 廊下ですれ違う彼女たちに挨拶をしてドロテアの寝室に入ると、クローゼットを開いて青色のドレスを取り出した。

「明日このドレスを着て、叔母様は雨乞いの儀式を行います。聖杯を持つ姿はきっと神々しいのでしょうね」


 妖精から賜ったとされる聖物はこの世に三つある。
 一つ目は、雨を降らす力を持つ聖杯。
 二つ目は、邪悪なものを払い、倒すことができる聖剣。
 そして三つ目は聖女となる乙女を見つけるための羅針盤だ。

 どれも大司教が厳重に管理している。

< 6 / 184 >

この作品をシェア

pagetop