もうダメだった。





「神崎様はこれから1ヶ月このホテルに滞在されます。その間の担当は山岸さんをご指名されております。ご希望内容はこちらです」



支配人はそう言うと私とスタッフ長に一枚の紙を渡して来た。

そしてそれを見て私は絶句した。


何故なら私が1ヶ月間24時間結衣の部屋で生活件仕事をしなければならない内容になっていたからだ。

結衣の部屋の管理をするのは当然として、衣食住、全ても結衣の部屋でするようになっている。


軽い軟禁状態ではないか。


私の様子を見たスタッフ長はすぐに口を開いた。



「これでは山岸さんの休日や自由がありません。あまりにも無理があります。もう少し違った内容は…」

「こちらを」



私のために抗議をしてくれたスタッフ長に支配人が一枚の契約書を見せる。
もちろん隣にいる私にも見える。

そこに書かれていた内容は…



「1000万。こちらの金額で取り引きをいたしました。半分はホテルとその他従業員のボーナスに、もう半分は山岸さん、貴女のボーナスになります」

「「…っ!!!!」」



あまりにもぶっ飛んだ内容の契約にスタッフ長も私も声にならない声を出してしまった。

つ、つまり、1ヶ月軟禁労働をすれば500万…。



「お伝えするのが遅れてしまい申し訳ありませんでした。ですが、どうがよろしくお願いしますね、山岸さん」



私は支配人にそう言われてにっこりと微笑まれた。


これはもう断れないし、仕方ない。
本当に金持ち芸能人の考えはわからないが、こんなにも大きなお金が動いてしまった以上受け入れるしかない。


…まあ、500万は普通に嬉しいし、1ヶ月だけだし、やれるよね。
500万入ったら爆買いもいいな。






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