一途な織姫と臆病な彦星
一途な織姫と臆病な彦星
七月七日、七夕の日、ある男と女が大きな笹の前に立っていた。

それには沢山の短冊が下げられていた。

二人は幼馴染だった。

それ以上でもそれ以下でもない。

二人で短冊に願い事を書くことにした。



彼女の願いはずっと前から一つだけだった。


「あの人の彼女になりたい。」


彼女は最近、同じ委員会の先輩と仲良くしていた。



彼の願いもずっと前から一つだけだった。


「この子の彼氏になりたい。」


彼は最近、同じクラスのある女子から告白されたばかりだった。



各々の短冊を笹の葉にかける。



彼女が帰ろうと歩き出した時、彼は笹の葉にかけられた彼女の短冊をこっそりと見た。


「おーい!早く帰ろう!」


遠くから彼女の声が聞こえた。


「告白するのはやめておこう。」
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