深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
「雨、降りそうだね」
「午後から降る予報だよ。今日、面接だだったよね?」
「うん、午後二時に約束しているの」
「傘が必要かもしれないね。頑張ってね」

ここで暮らすようになってから、二週間が過ぎた。

できる限り早くに再就職しようと意気込んて、毎日求人サイトを見ている。

先日応募した会社の書類選考が通り、本日面接予定だ。

恭也はしばらくのんびりしたらいいよと言ってくれたけど。

専務に昇任した恭也は、給与も待遇も良くなったらしい。だから、経済面で心配することはないとも言った。

優しい彼には、感謝している。

だが、甘えてばかりではいけないと思い、まずは働こうと考えた。

いずれ結婚したいと言われていても、まだ正式に受け入れていない身である。

そんな中途半端な関係で、恭也の負担になりたくはない。

「そうだ、さやか」
「なあに?」
「今夜、大事な話をしたい」
「どんな話?」
「悪い話ではないけど、面接前に話して困らせたくない」

悪い話ではなくて、困る話?

ちょっと胸騒ぎする。

「不安になるんだけど」
「ごめん、ごめん。俺のことを話したいだけだから、気にしないで」
「んー、気になる」

私はご飯をひと口放りこんで、箸を置いた。
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