深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
「もしかしてさ、なんか気にした?」
「あ、うん、ちょっと気になった」
「さやかとデート中なのに、他の女なんて目に入らないよ」
「うん、そっか」

私を見つめる恭也の瞳に曇りは見られないから、不安に思うことは何もない。

素直に言葉を受け止めて、彼の手を握り返した。

今はデート中だ。

他のことを考えるより、恭也のことだけを見よう。

ジッと見つめ返すとにらめっこみたいになった。

「なんだか先に目を逸したら、負けな気がするな」
「何の勝負なのよ?」
「好きの大きさかな。まあ、俺の勝ちだけどね」

誇らしげに言う恭也がおかしくて、私は視線をずらして笑った。

「やった。俺の勝ちー」
「えー、ずるーい」

私は頬を膨らませて、繋いでいる手を大きく振った。

恭也は楽しそうに笑い、繋いでいる手を自分の口まで運んで、私の手の甲に口づけした。

路上でそんなことをされて、私の顔は沸騰した。おかげで赤くなっているであろう顔のまま、映画館まで行くことになった。
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