深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
カウンター席しか空いていないと言われたが、一人なので問題はなかった。

程なくして、目の前に四角いプレートとスープの入ったカップが置かれる。メインのフレンチトーストに、サラダとソーセージが添えられていた。

ナイフとフォークを使い、ひと口サイズにカットして、食べる。

想像通りの美味しさに顔が綻んだ。落ち着いた雰囲気の店内は、ゆったりと過ごせそうだった。

素敵なカフェにめぐり合えたことに心が落ち着いていく。

なかなか見つからない部屋探しで、気持ちが焦っていた。

焦っても良いことはないとわかっている。だが、恭也との縁を完全に断ち切るためには、彼が用意してくれた部屋から出ないとならない。

離れると決意したのに、いまだ繋がりがあるのは良くないよね……。

だから、彼のことを考えてしまうのだ。早くに気持ちを切り替えないといけない。

でも、こっそりと想うだけなら誰にも迷惑かけないよね?

簡単には消えない想いを無理に消そうとしなくてもいいのではないかと、思えてくる。

いろんな気持ちが入り混じって、整理できない。
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