フラグを全力で育てる系女子の恋愛事情〜なぜか溺愛されてますが〜
「ねぇー、はなぁ」

ある日の放課後、私はぐったり机にもたれかかった。

「どしたの、いつも以上に酷い顔して」

「おい」

「冗談だってば」

涼しい顔してるけど、絶対本気で言ったでしょ。

「ぜんっぜん恋の兆しがないんですけど」

恋愛フラグを見逃さない宣言してから、もう一ヶ月が経とうとしてる。このままじゃ、あっという間に夏休みに突入してしまう。

アンテナ立てまくって探してるのに、それらしいイベントが全く起こらないのはなぜだ。

誰も鉛筆落とさないし、誰とも駅でぶつからないし、クラスメイトとふと目が合うとかも全くない。

「見逃してるだけじゃないの?」

彼氏持ちの華は、至って適当な反応。

「そんなことないと思うんだけどなぁ」

「じゃあ縁がない」

「身もフタもないな」

「頑張ってればその内なんかはあるんじゃないの?」

「もう、めっちゃ人ごとじゃんかぁ!」

さっきから興味なさそうな華に、私は足をバタつかせながら抗議した。



「どしたの相崎さん。なんか荒れてない?」

すると、不意に藤君から声をかけられる。その横には当然のように江南君もいた。

二人共、今日も安定のイケメンだ。

「相談なら、俺乗るよ?」

「いや、間に合ってます」

バッサリ切った私に、藤君はなぜか笑った。
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