フラグを全力で育てる系女子の恋愛事情〜なぜか溺愛されてますが〜
恥ずかしそうにあたまをかいてた藤君が、ふいに悲しそうに眉をハの字にする。

「ごめん、俺のせいで」

「そんな、藤君が謝ることじゃないよ」

「相崎さんが囲まれてるの見て、冷静でいられなくなって…」

本気で体からキュン、って音が出た気がする。

というか藤君は、さっきの私と安西さんのやり取りまでは聞いてないのかな。

「助けてくれて嬉しかった。ありがとう、藤君」

自分でも理由は分かんないけど、気持ちが溢れて泣きそうになる。それでも精いっぱい、フニャッと笑った。

パシッ

その瞬間、藤君が私の手を掴む。驚いて彼に視線を向けると、いつもの爽やかな表情はどこにもなかった。

「好き」

頬っぺたを赤く染めて、ギュッと眉を寄せて、少しだけ潤んだ真剣な瞳で私を見つめる。

私を掴んでる藤君の手の平は、ヤケドしてしまいそうなくらいに熱い。

その熱が、私の頭の中を溶かしてく。

「俺は、相崎さんのことが好き」

「ふ、ふじく」

「今度は、ちゃんと言えた」

切なげなその声は、私をたまらない気持ちにさせる。

「聞いてくれてありがとう」

無理やり作った笑顔を見ると、やっぱり泣きそうになった。

「あ…ご、ごめ」

「待って!」

手を離す藤君に、私の口からは無意識のうちに言葉が飛び出す。

「私も、私も好き…っ、藤君のことが、好きなの…!」

顔は真っ赤だし、泣くの我慢してるせいでたぶん酷い顔してると思う。

けど藤君は、一瞬驚いたように目を見開いた後、今まで見た笑顔の中で一番嬉しそうな顔をして笑った。
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