NEVER~もう1度、会いたい~
日本代表チ-ムがスタジアムに到着しても、雨は止む気配はなかった。


「予報通り、今日は雨中戦だな。」


「そうですね。せっかくの復帰戦ですから、出来ればいいコンディションでと思ってましたが、こればかりは仕方ないですね。」


あいにくの天候にも関わらず、熱心な大勢のサポ-タ-が彼らを待ち構えていた。湧き上がる声援に手を振って応えながら、翔平はキャプテンの長谷と肩を並べて、スタジアムに入った。


今日の最終戦、相手は現在グル-プ3位のオーストラリア。1位のサウジアラビアの出場は既に確定。この試合に日本は勝てば、文句なしにW杯出場決定だが、敗れてしまうとオーストラリアが逆転で2つ目のイスを確保することになる。もし敗れてもW杯出場の可能性が完全に消えるわけではないが、その道のりは相当険しくなる。文字通りの直接対決をなんとしても制して、地元でW杯出場を決めたいと選手もサポ-タ-も意気込んでいた。


最後のミーティングを終え、選手達はピッチへ向かう準備をする。雨は相変わらず降りしきるが、もはや気にしている選手は1人もいない。やがて入場テーマ曲が流れ始める。


「さぁ行こう。」


長谷キャプテンが選手達に声を掛け、自ら先頭に立って歩み出す。サムライブル-のユニホ-ムに身を包んだ彼らが、グラウンドに姿を現すと、スタンドからは地響きのような大歓声が上がる。


(すげぇなぁ・・・みんな俺達を、俺達の勝利を見に来てくれてるんだ。)


観客席が自分達と同じブル-のユニフォ-ムを着たサポ-タ-で埋め尽くされている。彼らが掲げる日の丸やブル-のタオルが揺れている、それは壮観な光景だった。この重要な試合をホームで戦える幸運を、翔平は改めて感じていた。


(勝てる、いや絶対に勝ってみせる。)


翔平の決意は、チ-ム全員の思いだったろう。


(あいつも、どこかで見てくれてるかな・・・?)


自分たちに続いて入場して来たイエロ-のユニホ-ムのオーストラリアチ-ムを見ながら、翔平はふと、そんな思いを抱いた。


試合前のセレモニ-は着々と進み、やがて両チ-ムの先発イレブンがピッチに散って行く。そして・・・試合開始を告げるレフリ-のホイッスルが鳴った。
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