21トリソミー
幸福搾取
妊娠が発覚してから暫くしたある日、友樹から「子どもの認知も勿論するし、養育費もしっかり払う。だから、離婚してほしい」と告げられた。
そんな話には当然応じない。あまりにも頭にきて、汚い言葉をこれでもかと吐き捨て、勢いで家を出ると奈子のアパートに突撃した。
興奮冷めやらぬ私の話を一通り聞いた奈子は、
「キナ臭いねぇ」
と、古いドラマの刑事ばりに人差し指でこめかみをトントンと突いた。
「ちょっと探るわ。何か分かったら連絡する。あ、でも当分ウチに泊まる? 友樹と顔合わせるの嫌でしょ」
「ありがとう。今日は泊めて。でも、明日帰るよ。私がいない間に誰か連れ込まれたりしたら、多分私発狂する」
奈子の優しさに一瞬顔も綻んだが、すぐに険しさを取り戻してしまう。
そんな話には当然応じない。あまりにも頭にきて、汚い言葉をこれでもかと吐き捨て、勢いで家を出ると奈子のアパートに突撃した。
興奮冷めやらぬ私の話を一通り聞いた奈子は、
「キナ臭いねぇ」
と、古いドラマの刑事ばりに人差し指でこめかみをトントンと突いた。
「ちょっと探るわ。何か分かったら連絡する。あ、でも当分ウチに泊まる? 友樹と顔合わせるの嫌でしょ」
「ありがとう。今日は泊めて。でも、明日帰るよ。私がいない間に誰か連れ込まれたりしたら、多分私発狂する」
奈子の優しさに一瞬顔も綻んだが、すぐに険しさを取り戻してしまう。