21トリソミー
「香純⁉ どうしたの⁉」

 急に泣き出した私に驚いた友樹が、テーブルの端に置いてあった箱から数枚のティッシュを抜き取り、私の顔を拭った。

「……食べ終わってから話す」

「今話してよ。泣いてる香純をそっちのけでカレー食えるわけないじゃん」

 友樹はスプーンを手放すと、手を膝の上に置き【話を聞きます態勢】を整えた。

 だから私も、一度も口をつけていないスプーンをテーブルに置いた。

「……今日、検診の日だったじゃん。この前受けたNIPTの検査結果を聞いたんだ。……21トミソリーが陽性だった」

 友樹の表情を確認する勇気が出ずに、意味もなくカレーを見つめる。

「……21トミソリー……?」

 友樹がスマホをスラックスのポケットからだそうとする仕草をした。

「……ダウン症の可能性がある」

 調べる手間を省いてあげたいというより、無駄なことに時間を使いたくなくて、友樹がスマホで検索する前に答えた。
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