旅先恋愛~一夜の秘め事~
「綿貫さんはもう帰られたのですか?」


葎の問いかけに、書類をチェックしていた手が止まった。


「は? 唯花が来てるのか?」


「会われていないのですか?」


驚いた様子の葎に詳細を尋ねる。

差し入れはおろか唯花の姿すら一度も見ていない。

慌てて唯花のスマートフォンに連絡するも繋がらない。

頭から一気に血の気が引いた。


「葎、防犯カメラの確認を!」


俺の指示に葎がすぐに動き、堤にも連絡を入れた。


どこに、行った?


まさか、誰かにさらわれた?


目の前が真っ黒に染まっていく気がした。

落ち着け、と何度も自分に言い聞かせるが、最悪の事態ばかりを想像してしまう。

とてもじゃないが冷静ではいられない。


唯花に万が一のことがあればどうすればいい?


震えそうになる指で、何度も唯花のスマートフォンに連絡する。

そんな真似しかできない自分が情けない。


なにが、あった?
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