旅先恋愛~一夜の秘め事~
「……暁さんのところには帰れないわ。私がいていい場所じゃない」
『ちょっと待って、早まっちゃダメよ。今からそっちに向かうわ! 区役所の中で待っていて』
叫ぶように告げ、麗は慌ただしく通話を終えた。
区役所に到着し、入り口近くにある用紙置き場から緑色の縁取りの離婚届を取り出す。
薄い紙を握りしめる指が微かに震えた。
「……綿貫、さん?」
背後からよく知る女性の声が聞こえ、ビクリと肩が跳ねた。
背を向けたまま会話もできず、かといって身重の体で機敏に走り去ることもできず、ゆっくりと振り返った。
「どうして、ここに……副社長はご存知なのですか?」
堤さんが区役所の封筒を手に私を見つめ、ハッとした表情を浮かべる。
「……綿貫さん、まさか、それ……」
彼女の視線に用紙を握ったままだと気づく。
……タイミングが悪すぎる。
いくら動揺していたとはいえ、こんな姿を見られるなんて。
……でもふたりのためにはそのほうがいいのかもしれない。
堤さんに暁さんが想いを告げたのかはわからないが、私が彼の足かせになっている事実は変わらない。
『ちょっと待って、早まっちゃダメよ。今からそっちに向かうわ! 区役所の中で待っていて』
叫ぶように告げ、麗は慌ただしく通話を終えた。
区役所に到着し、入り口近くにある用紙置き場から緑色の縁取りの離婚届を取り出す。
薄い紙を握りしめる指が微かに震えた。
「……綿貫、さん?」
背後からよく知る女性の声が聞こえ、ビクリと肩が跳ねた。
背を向けたまま会話もできず、かといって身重の体で機敏に走り去ることもできず、ゆっくりと振り返った。
「どうして、ここに……副社長はご存知なのですか?」
堤さんが区役所の封筒を手に私を見つめ、ハッとした表情を浮かべる。
「……綿貫さん、まさか、それ……」
彼女の視線に用紙を握ったままだと気づく。
……タイミングが悪すぎる。
いくら動揺していたとはいえ、こんな姿を見られるなんて。
……でもふたりのためにはそのほうがいいのかもしれない。
堤さんに暁さんが想いを告げたのかはわからないが、私が彼の足かせになっている事実は変わらない。