訳あり子育て中は 御曹司からの猛攻にご注意下さい
入院から5日後。
どうしても登生のことが心配だった私は、主治医の先生を説得して退院許可をもらった。
急なことで淳之介さんに知らせる暇もなかったと言うのは言い訳で、本当は言えば反対されそうで言えなかった。

簡単に荷物をまとめ、久しぶりの外の空気を深呼吸する間もなくタクシーに乗り込んで、私は『プティボワ』へ向かう。

いきなり入院してしまって、マスターに何の挨拶もできていないことがずっと気がかりだったし、せっかくだから挨拶をしようと足を向けた。


「こんにちわ、マスター」
「あれ、璃子ちゃんいらっしゃい」

いきなりの登場に驚いているけれど、すぐに私の好きなカフェオレを出してくれるマスター。

「突然お休みして、迷惑をかけてすみません」

私が急に休めば代わりの子を手配しないといけなかったはずだし、きっと大変だったと思う。

「璃子ちゃんは具合が悪かったんだから、気にしなくていいんだよ。それに中野専務からも連絡をもらってバイトの手配もすぐにできたしね」
「そうでしたか・・・」
淳之介さん、ちゃんと連絡をしてくれたんだ。

カランカラン。

「こんにちわ。あれ、璃子ちゃん?」

凄い偶然。
ちょうど荒屋さんがお店にやって来た。
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