訳あり子育て中は 御曹司からの猛攻にご注意下さい
「そうだ、今日は買い物に行こう。登生の食器も欲しいし、今履いている靴も小さくなっているだろ?」
「え、ええ」

この家にある高級食器を登生に使わせるのが怖くて、プラスッチックのものにしている。
さすがにほぼ使い捨てみたいな食器だし、そろそろ登生用にお茶碗とコップを買いたいなと思っていた。
それに子供の成長はとっても早いから数か月前に買った服や靴が小さくなっていて、お休みになったら登生を連れて買いに行くつもりだった。
でも、

「淳之介さん、忙しくないですか?」

せっかくのお休みを私達のために使わせては申し訳ない。
ただでさえ忙しいのに、せめて休日は休まないと。

「いいんだよ、気分転換だから。それに、僕も買い物したいしね」
「そうですか」
ならいいけれど。

淳之介さんと出かければ、登生はきっと大喜びするだろう。
でも登生が淳之介さんに懐けば懐くほど、私は不安になってしまう。
だって、この先マンションを出て淳之介さんと会えなくなったら登生は悲しむに違いない。
そのことを思うと、胸が締め付けられる。
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