訳あり子育て中は 御曹司からの猛攻にご注意下さい
「ボスおそいね」
「そうね」

夜9時になり、登生が寝る時間になっても淳之介さんは帰ってこなかった。
最近とっても忙しいって荒屋さんも言っていたし、取締役ともなれば仕事だって大変なのだろう。
こんな時に私や登生のことで煩わせてはいけないと、電話やメールをしたり、帰りの予定を聞いたりはしないことにしている。

「あしたもおしごとかなあ?」
「そうねえ」

このところ週末も仕事に行くことが多いから、明日も1日休みってことにはならないかもしれない。

「ぼく、ボスとあそびたい」

うぅーん。
「明日は私とお出かけしましょ?」
「りこちゃんと?」
「そう。少し御用があるから、その後お買い物してお昼を食べて帰りましょ?」
「うん」

実は明日、不動産屋さんを回ることにしている。
多少古くても狭くても、登生と2人安心して住めるところをいくつか見つけていて行ってみるつもりだった。

「ボスもおやすみならいいね」
「そうね」

家を決めて契約するまで、淳之介さんには言わないつもり。
反対されるとは思わないけれど機嫌が悪くなりそうだし、選んだ物件に文句を言われても困るから。
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