わたしの妄想日記

ナイトプールで

園山紗季は立野光とナイトプールに来ていた。
都内の、インスタグラムで映えると話題のプールで、紗季はどうにかここに光と来たいと思いを巡らしていた。
光とは高校の同級生で、それ以上でもそれ以下の関係でもなかった。
LINEを紗季が送っても、光はああやそうか、うんなど、絵文字すらついてない素気ない返事である。
紗季は友人に背中を押され、多少は遊びに行く仲の光をナイトプールに誘った。
光は最初は乗り気ではなかったが、テストの点数で勝ったら行くという約束をして、1点差でぎりぎり紗季が勝った。
光は渋々という感じであったが、それに反して紗季は嬉しくて仕方ないという様子だった。
「やばい。めっちゃ嬉しい。光一緒に来てくれてありがとう」
「いや、俺なんもしてないけど。負けただけだし...」
光は悔しそうに横でブツブツ何か言ってるが、紗季はどうでもよかった。
「それじゃ、また後でね」
紗季と光は水着に着替えるために、一旦別れた。

「うわーすごーい」
紗季は着替え終わって外に出ると、暗闇の中、綺麗なプールが目の前に広がっていて、テンションが上がっていた。
しかし、あたりを見渡すと綺麗な女の人の集団、いかにも美男美女でお似合いなカップルしかおらず、自分に自信がなくなっていた。
自分の胸を見ると驚くほどスカスカでとても悲しくなった。
(こんなんじゃ、光の前に出れない...)
紗季はそそくさと角の方に隠れた。
そこへ着替え終わった光が来たが、光はコンタクトを外しており、周りが見えない様子だった。
(まじありえねぇ、なんも見えない)
紗季はそんな光の姿を見てしょうがなく光の元に行った。
「お前、おせーよ」
「いや、先にいたから!」
んなら、声をかけろよと言わんばかり、待たされた光は機嫌が悪かったが、紗季はそんな光の手を引いて水の中に入っていった。

「冷たーい」
まだプールも開きはじめの時期で風は冷たかった。
ネオンライトや電灯が赤々としており、あたりはとても幻想的な空間を醸し出していた。
紗季は光の横顔を見ながら、ナイトプールに一緒に来れた自分を密かに褒めていた。
このままいっそ付き合えて、恋人になれたらいいのになと夢のようなことも考えて、終始楽しそうな様子だった。
一方光はというと、密かに紗季のことを想っていた。
それというのも、光は学力が高く、文武両道、友人も多く、生徒会長という全て完璧な男であった。
そのため、1回も勝負事で人に負けたことはなく、ましてや成績で負けることは一度もなかった。
なのに、高校に上がり、紗季と出会ったが、紗季に一度もテストの点数で勝てたことはなかった。
なにがそんなに勝てないのか、光は分からずいつのまにか紗季のことが気になるようになっていた。
そして競争心がいつしか恋心に変わり、実は両想いになっていることには、このとき2人は気づいていなかった。
今回のテストだって、光は1教科も手を抜いてないが、この結果だった。
紗季はそんな光の対抗心などつゆ知らずで、ただ映えてるナイトプールを撮り続けていた。
「一緒に写真撮ろー」
あたかも自然を装って、光にそう言った。
はいチーズ。光の手は紗季の肩に回され、気づくとすごく2人の体は密着していた。
紗季は心臓の鼓動を感じ、学校では味わえない光とのデートを楽しんでいた。
光は肩にかけていた手を紗季の腰に回した。
きっと夏の魔物のせいだ。
光は頭の中でお経のようにそう唱え、はやる気持ちを抑えていた。
紗季はいつもと違う光の態度に内心すごく驚いていた。
光は紗季の腰に当てている左手を離し、顔に触れた。
そして光はそのまま優しくキスをした。
紗季はされるがままにそれは応えるようにキスをした。
しばらくして2人は顔を離し、背中合わせになっていた。
「光、どういうこと!?」
「別に、ただの気まぐれだよ」
紗季も光も互いの顔を直視することができなかった。
あたりを見渡すと、閉園間近で、さっきまで周りにいた沢山の人がほとんど居なくなっていた。
それが余計に2人の気まずさを引き上げていた。
「紗季、こっち向いて」
光は向き直り、紗季にそう言った。
紗季がうつむきがちに振り向くと、光は今度はやや強引に紗季の顔に両手で触れ、激しくキスをした。
チュ...チュチュ......チュ
紗季は息が出来なくなり、光待ってと拒もうとするが光が止める気配はない。
チュ...チュチュ...ハァ...チュ...チュ
次第に光の舌が紗季の口の中に入り、激しさが増していった。
紗季と光の呼吸は荒くなっていった。
やっとの思いで光を止めると、紗季の顔は真っ赤になっていた。
「光、どういうこと?」
-まもなく、閉園のお時間になりました。プールに残っている方はお帰りください♪-
遮るように園内放送が流れた。
「帰るか」
光は、何事もなかったように紗季にそう言った。
紗季は終始不服だという顔をしているが、渋々と自分の更衣室へ向かった。

着替えて2人はまた顔を合わせると、それぞれの家路についた。
その時、手は握られあたりはしんと静まっていた。
「また、こような」
光がそういうと、紗季は二度と来るもかと思いながら、まんざらでもない顔をしていた。

fin.
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