忘れたまんまの君がポケットに入れていたのは青い日の恋かもしれないと先生は云った

サユside 色紙のせい

折り畳み自転車が、
上手く広がらないらしい。

車の運転代行として、
自転車で来る予定の
ユカの旦那さまの状況を聞いたのは
同窓会も終わりを迎えて、
わたしがトイレに行く前だった。

「ちょっと表、見てくるわ。
サユはサイン探してくれると
ありがたいんだけれどー。 」

寄せ書きも書いて、
大笑いする
ユカが
居酒屋の壁に掛かる、
時計と電話の表示を
交互に見ると、
わたしに申し訳なさそうに
サイン済の色紙を
示めす。

「いいよ全然。乗せてもらうのは
わたしの方だしね。あとでね。」

わたしは直ぐにユカの考えている
ことを察してOKサインを
送った。

「サンキュ!じゃ見てくる。」

ユカは電話を片手に、
いそいそと店の外へ出て行く。

受付係だった女子の1人に
色紙を聞くと、

『あ、さっき浜名くんに、
書いてもらってロッカーだ。
そこ、そのドア開けて、そう。
その中でーす。どうぞ。』

スタッフルームのドアを示されて
中に入ると段ボール箱がある。

受付係さんは、片付けに忙しそう

「探して持っていきますね。」

自分で探すと伝えてると、
早速スタッフルームを出て
行ってしまう程。

示された場所には、
ヴィゴのサインがされた色紙が
入る段ボール箱。

わたし達は二次会不参加だから、
ユカの名前がある色紙を
この中から
見つけ出さなくてはいけない。

「結構、皆んな頼んでるんだ。」

ヴィゴだけでなく、
一躍時の人になった浜名くんの
サインも一緒にされていて、
なかなかユカの色紙が
見つからない。

数分して、
ようやく色紙を見つけた。

ユカからのメッセージは来ていない
から、旦那さんは到着して
ないのだろう。

「さ、色紙持って降りよう。」

殆んどの同級生達は、
3階にあるカラオケハウスに
移動していて、
何人か奥で、残っているだけ。

と、思ったら

『何なにー、まだ写真とってない
人いるのかyo☆並んで並んで☆
オールOK!アロハロハ~!』

外階段に、
馬鹿ならぬ、
ヴィゴが
女子に囲まれて、
迷惑な写真撮影会をしていた。

「道ふさいで、、あの中降りる
なんて、出来ないじゃない。」

確かトイレの前に、
非常階段があったけれど、一団の
向こう側。

どうしよかと考えて、
思い出したのは
始めに入った喫茶店。

確か反対側に勝手口のドアが
見えたのだ。

「もしかしたら、ゴミ出しの階段
みたいなのがあるんじゃ、、」

居酒屋をソロリと出て、
賑やかな正面階段とは反対。
奥の喫茶店に向かう。

その入り口を通り過ぎた先に、

「やった!アタリね。」

従業員階段なのか、
簡単な作りの鉄階段があった。

下がゴミ置き場で、
建物の裏手駐車場になっている。

『カンカンカンカン♪』

音を鳴らしながら、
階段を降りて無事にヴィゴ達を
回避出来た!

「もう、何のトラップよ。」

一言文句を言っ
暗い裏駐車場を周りこみ、
正面の車寄せに
足早に抜けようとしたのに。

「竹花さ~ん。待ってよ。」

「?!!」

出し抜けに後ろから、
嫌な声がした。

「ヴィゴ達の写真とる女子と
いたら、竹花さんが見えたから
追い掛けてきちゃったよ。」

さっきトイレの前でも見た、
舐める目付きをしている
所沢マコト。

「丁度良かったよ。そこに、
おれの車停めてるんだわ。
乗っていきなよ、送るよ~。」

気が付かないうちに、
後ろを尾けられ、間合いを
詰められていたからか、
強い勢いで
肩に手を掛けられる!!

「放してよ!所沢くん!!」

わたしは反射的に大声を上げた。
残念なことに!
裏手駐車場だからか、
人がいない。

「竹花は二次会出ないんだろ。
ほら、車乗っていけば?
全然飲み直しに行けるぜ。」

所沢マコトは、
わたしの腕も掴んでくる。

「さっき、内田さんに足下に
されてたよね。ユカの車で
送ってもらうから、いい!」

肩を振り切って、
取られた腕も抜こうとした。

「マコねー。別にこっちじゃ、
幅きかせてるけど、地元だけ
だろ。あんなやつの顔なんて。」

捕まれた腕を逆に引かれた。

「えー、なんか固いなあ。
べつにいいじゃん。今度ヴィゴ
が上京するんだよ。それで、
俺も行くから、向こうで
会おうぜ。面倒なしの友達。
出張の時に会うセフレどう。」

「子どもって言ってたよね、
奥さん、
いてるんじゃない!所沢くん」

かなり至近距離に
顔を近付けられて、
嫌悪感が半端じゃない。

「だ、か、ら、今度向こうで。
竹花さん東京の仕事だろ?
さっきさ、田原がリストを
見せてくれたんだよ。仕事場、
近くに良いホテルとっとくよ。」

田原ケンジのやつ!!

マコトの身体を、
まだ取られていない腕で
思い切り押しやって、抵抗!!

「サイテー!!今日、手当たり
次第、声をかけてたんだ!!
女子を馬鹿にしてる!!」

「いやいや、ギブアンドテイク。
お互い、気持ちよくなるんだ
からさ。今から飲みにいこ。」

マコトが
ポケットから出した電子キーで
車のドアを開ける音が、
すぐ背中でした。

後ろにあるのがマコトの車だと
理解して、
鳥肌が立つ。

「止めてよ!!放して!!」

「それとも、もしかして、
処女かよ?なら教えてやるよ?」

「本当にサイテー!!」

渾身の力で抗って、
声を上げた!!

『プアパーーーン≪≪≪』

わたしの大声と
クラクションが重なり
鳴り響いて、
最光量のヘッドライトが
太陽みたいに
暗い中、突然輝いた!!

「わっ!!眩し!!なんだ?!」

「!!!」

怯んだマコトが、
掴んでいた
わたしの腕を一瞬放して、
マコトが
ライトの光を両手で覆う!

「誰だよ!ライト上げすぎだ!」

同時に聞こえた

「サユ!!それに乗れ!!」

ナガレ?の声?!

「のれ!!!」

姿が見えない声に、
わたしは躊躇いつつも、
直ぐに
ライトを点けながら
直進してきた車を見つける!!
その
車のドアが開くと、

躊躇なく車に乗り込んで、

わたしは
マコトが入って来ないよう、
思いっきり
助手席のドアの鍵を締めた!!


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