どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~
Love11 思い出のキス ~佐竹SIDE2~
Love.11 思い出のキス


~佐竹SIDE2~


トロンとした瞳で俺を見つめる吉岡さん。
もうお酒を結構飲んでいた。


「私を酔わせてどうするつもり?」

「酔わないでくださいよ。また忘年会みたいに襲われたら困るし」

「何、それ?そんなことあった?」

「俺にキスしたの、忘れたんですか?」

 
その時の吉岡さんの驚いた顔ったら、なかった。

フカヒレを口に入れたまま、ポカンと。


「あれ、あんただったの……?」


俺は忘れることなんてできなかったキスを、吉岡さんは忘れていたというショックと、キス自体は覚えていてくれたことへの喜びと、変な気持ち。


「どうしよ。私、あんたにキスしたの?」

「そうっすね。いつもあんなことしてるんなら被害者の会作りますよ」

「いやいやいや、それはない、と思う。あの時、いろいろあって……」

「寂しい寂しいって言ってました。相手は誰でも良かったんですね」

「それはない!いくら酔ってても嫌いな奴にはキスしないから!!……でも、なんであんただったんだろうね」



嫌いな奴にキスしない、という言葉に俺の胸はときめいていた。

酒がまわる。



「何があったんですか?失恋?」

「恋にも発展しなかったんだけどね、好きな人がいて、あきらめようって思った時期だったんだよね」


俺のことを好きってことは100%ないってわかっていたけど、実際に好きな人がいたのかと思うとちょっと凹む。




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